

いつの間にか、「和」は特別なものになった。
畳の上に座り、寝転び、家族と食卓を囲む。
そんな風景が、私たちの日常にはありました。
暮らしのスタイルが変化するなかで、和の空間が少しずつ姿を消しつつあります。
一方、インバウンドの人たちにとって畳や障子、襖などの「和のしつらえ」は日本でしか味わえない魅力であり続けている。
私たちが当たり前に手放してきたものを、海外の人たちは「どうか失わないでほしい」と感じている。
なんだか、少し不思議な気がします。
かつて旅館では温泉に入り、何もしなくてよい贅沢を味わいながら日頃の疲れを癒すことが大きな目的でした……。
素足で感じる畳の感触。低い目線で部屋を眺めながら、ゆっくり時の流れを愉しむ。
今ではそんな瞬間さえ、特別なひと時となっています。
「当たり前」だったものが「特別」になる。
そこには、和の空間を取り巻くひとつのパラダイムシフトがあるのかもしれません。
だからこそ、今ある和を古いものとして片づけてしまわない。 和の趣を大切にしながら、現代の感性に寄り添い、新しい価値をつないでいく。 見せ方や楽しみ方を変えることで、和の空間はこれからの暮らしを豊かに彩るものへと生まれ変わる。
それこそが、私たちが創りたい景色です。
